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小林よしのり
2016.5.6 03:04政治

太平の眠りを覚ます暴言王 撤退したいに夜も眠れず


ドナルドダッグじゃなくて、ドナルド・トランプが

「安保タダ乗り論」「米軍撤退」を言っている。

日本は在日米軍の駐留費を全額負担せよと言うのだ。

全額負担に応じなければ、米軍を撤退させると脅している。

 

なんだかメチャクチャ笑える。

わしはずっと自主防衛を唱えていたが、日本人からは

危険思想と思われていた。

意外なことに、日本国内の右派からも左派からも危険思想と

見られていたのだ。

したがってトランプが米軍撤退を言い、「自分の国は自分で守れ」

と言っても、ありがたすぎて狐につままれたような気分になる。

 

属国民の根性が植え付けられた日本人に対して、今後も相当な

説得を行わなければならないだろうと思っていたのに、

アメリカ人の方から言いだすという滑稽な展開があるとは!

都合が良すぎて、思わず笑みがこぼれるから、どうせクリントンに

負けて、トランプ大統領はないだろうと気を引き締めるしかない。

 

日本国内の自称保守派は、あんなにオバマ大統領を罵っていた

にも拘わらず、そして共和党が大好きだったにも関わらず、

その共和党から「安保タダ乗り論」を言う有力な大統領候補が

出てきたことに怯えている。

自称保守派は、オバマ大統領の方が良かったと思うだろうし、

今後はクリントンを応援するだろう。傑作じゃないか!

 

そしてリベラル左派・左翼・護憲派の連中も、トランプの言う

「米軍撤退」を悪夢と思って怯えている。

現行憲法は米軍駐留を前提で成り立っているからだ。

その欺瞞をトランプが大統領になったら、破壊してしまうだろう。

 

右派も左派もトランプは無知だからと、苦虫かみつぶした顔で

語っている。

確かにブッシュ元大統領だって、相当に馬鹿だったが、

トランプはそれに輪をかけた馬鹿だ。

でもそれが民主主義の成果だから仕方がないじゃないか。

アメリカ国民の知的レベルと本音の集合体が、トランプという

モンスターを生み出した。

世界はますます破滅に向かっている。

日本は日米同盟を国是にしたままでいいのか?

 

太平の眠りを覚ます暴言王、撤退したいに夜も眠れず

 

小林よしのり

昭和28年福岡生まれ。漫画家。大学在学中にギャグ漫画『東大一直線』でデビュー。以降、『東大快進撃』『おぼっちゃまくん』などの代表作を発表。平成4年、世界初の思想漫画『ゴーマニズム宣言』を連載開始。『ゴーマニズム宣言』のスペシャル版として『差別論』『戦争論』『台湾論』『沖縄論』『天皇論』などを発表し論争を巻き起こす。
近刊に、『卑怯者の島』『民主主義という病い』『明治日本を作った男たち』『新・堕落論』など。
新しい試みとしてニコニコ動画にて、ブロマガ『小林よしのりライジング』を週1回配信している。
また平成29年から「FLASH」(光文社)にて新連載『よしりん辻説法』、平成30年からは再び「SPA!」(扶桑社)にて『ゴーマニズム宣言』、「小説幻冬」(幻冬舎)にて『おぼっちゃまくん』を連載開始し話題となっている。

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